外国人雇用の基礎知識:在留資格と雇用条件

人手不足が深刻化する中、外国人雇用を検討される企業が増えています。しかし、在留資格の確認を怠ると不法就労助長罪に問われ、企業に重大なリスクが生じる可能性があります。この記事では、外国人雇用において確認すべき在留資格の基礎知識と、適切な雇用管理の方法について、入管法に基づいて解説します。初めて外国人採用を検討される経営者の方にも分かりやすくお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

外国人雇用で確認すべき2つの在留資格の基礎知識

外国人を雇用する際、最も重要なのが在留資格の確認です。在留資格とは、外国人が日本に滞在し、活動できる範囲を定めた資格のことを指します。出入国管理及び難民認定法(入管法)によって定められており、この資格によって就労の可否が決まります。

在留資格とは何か

在留資格は、外国人が日本で行うことができる活動の種類や範囲を定めたもので、出入国在留管理庁(入管庁)が管理しています。現在、29種類の在留資格があり、そのうち就労が認められているものは19種類です。

在留資格は大きく分けて以下の3つに分類されます。

  • 就労に制限がない在留資格:永住者、日本人の配偶者等、定住者など
  • 特定の業務に限り就労できる在留資格:技術・人文知識・国際業務、特定技能など
  • 原則として就労が認められない在留資格:留学、家族滞在など(資格外活動許可を得れば週28時間以内のアルバイトは可能)

雇用主は、外国人労働者を採用する前に在留カードを確認し、その人が従事予定の業務内容と在留資格が適合しているかを必ず確認する必要があります。入管庁の公式サイトでは、在留カードの見方や確認方法について詳しく解説されており、偽造カードの見分け方も掲載されています。

実際に当事務所の顧問先でも、「留学生をアルバイトで雇用していたが、資格外活動許可を取得していなかった」というケースがありました。この場合、企業側も不法就労助長罪に問われる可能性があるため、事前の確認が極めて重要です。

確認を怠ると不法就労助長罪に

在留資格の確認を怠り、就労が認められていない外国人を雇用した場合、雇用主は不法就労助長罪に問われる可能性があります。入管法第73条の2に基づき、以下の行為が処罰の対象となります。

  • 不法就労をさせる行為
  • 不法就労をさせるために外国人を自己の支配下に置く行為
  • 業として外国人に不法就労活動をさせる行為、またはその周旋行為

罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。また、法人の場合は両罰規定により、従業員だけでなく法人自体も罰金刑の対象となります。

さらに、不法就労助長罪で有罪判決を受けた場合、以下のような企業リスクが生じます。

  • 社会的信用の失墜と取引先からの契約解除
  • 許認可事業の場合、営業停止や許可取り消しの可能性
  • 今後の外国人雇用における入管手続きの困難化
  • 金融機関からの融資審査への悪影響

厚生労働省が公表している「外国人雇用状況の届出状況」によると、令和4年10月末時点で日本国内の外国人労働者数は約182万人に達しており、適切な在留資格管理の重要性は年々高まっています。

主な就労可能な在留資格の2つの種類と職種制限

外国人を雇用する際に知っておくべき代表的な在留資格について、それぞれの特徴と職種制限を解説します。在留資格によって従事できる業務内容が異なるため、採用計画に応じて適切な資格を持つ人材を選ぶことが重要です。

技術・人文知識・国際業務

「技術・人文知識・国際業務」は、専門的・技術的分野の外国人労働者を受け入れるための在留資格で、通称「技人国(ぎじんこく)」と呼ばれています。多くの企業で活用されている代表的な就労ビザです。

従事できる業務内容

  • 技術:理学、工学等の自然科学分野の技術や知識を要する業務(システムエンジニア、プログラマー、設計技師など)
  • 人文知識:法律学、経済学、社会学等の人文科学分野の知識を要する業務(経理、人事、法務、マーケティングなど)
  • 国際業務:外国の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務(通訳、翻訳、語学教師、海外取引業務など)

取得要件

この在留資格を取得するには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  1. 大学(短期大学を含む)を卒業、または大学院を修了していること
  2. 日本の専門学校を卒業し、専門士または高度専門士の称号を取得していること
  3. 従事しようとする業務について10年以上の実務経験があること(大学、専門学校等で関連科目を専攻した期間を含む)

また、採用する企業側にも要件があり、日本人が同等の業務に従事する場合と同等額以上の報酬を支払う必要があります。これは、外国人労働者を低賃金労働力として扱うことを防ぐための規定です。

注意すべき点として、この在留資格では単純労働や現場作業は原則として認められません。例えば、システムエンジニアとして採用した外国人に、工場での組立作業や清掃作業をさせることはできません。

特定技能・技能実習

人手不足が深刻な産業分野において、一定の専門性や技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格として「特定技能」と「技能実習」があります。それぞれ目的や制度の仕組みが異なります。

特定技能

特定技能は、2019年に創設された比較的新しい在留資格で、深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有する外国人を即戦力として受け入れる制度です。

対象となる特定産業分野は以下の12分野です。

  • 介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空
  • 宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業

特定技能には1号と2号があり、特定技能1号は在留期間が通算5年まで、特定技能2号は更新回数に制限がなく、将来的に永住申請も可能です。雇用企業は、外国人材に対する支援計画の策定や、定期的な面談の実施など、一定の支援義務を負います。

技能実習

技能実習制度は、開発途上国への技能移転を目的とした国際協力の一環として位置づけられています。実習生は最長5年間、監理団体を通じて受け入れ企業で実習を行います。

技能実習には以下の特徴があります。

  • 対象職種が85職種156作業に限定されている
  • 技能実習計画の認定が必要
  • 実習実施者(受け入れ企業)には報告義務や指導責任がある
  • 原則として転籍・転職ができない

なお、技能実習制度は2024年の入管法改正により、将来的に「育成就労制度」へと移行する予定です。これにより、一定の条件下での転籍が可能になるなど、制度の柔軟性が高まる見込みです。

特定技能と技能実習のどちらを選択するかは、受け入れ企業の業種、求める人材のスキルレベル、サポート体制などを総合的に判断して決定することが重要です。制度の詳細については、出入国在留管理庁や外国人技能実習機構の公式情報を参照することをお勧めします。

まとめ

外国人雇用においては、在留資格の確認と適切な労務管理が企業の責任として求められます。この記事で解説した重要なポイントをまとめます。

  • 在留資格の事前確認:雇用前に在留カードで資格を確認し、従事予定の業務内容と適合しているか必ず確認すること
  • 不法就労助長罪のリスク:確認を怠ると3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があること
  • 在留資格ごとの職種制限:技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習など、それぞれ従事できる業務が異なること

外国人雇用は、適切に行えば企業の成長と多様性の促進につながる一方で、法令違反があれば重大なリスクを招きます。初めて外国人を雇用される場合や、手続きに不安がある場合は、外国人雇用に詳しい社会保険労務士に相談されることをお勧めします。

労務に関するご相談はSalt社会保険労務士法人までお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料で承っております。

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