企業には「採用の自由」がありますが、条件労働者を募集・採用する際には、事業者等に以下のような一定の制限を課しています。
皆様も感じているように、企業を取り巻く労働力市場は、悪化の一途を辿っており、今後益々、人材の確保が難しくなると思われます。
その中で企業が求める人材を確保するには、給与等の待遇面での優遇はもちろん、労働基準法の遵守、パワハラ、セクハラ規定等の労働に関する法律の遵守等、企業コンプライアンスが整っていることがまず重要です。
そして、こうした整備をしていない企業は、生き残れない時代になっていくと予想されています。
採用活動をする前に、企業のコンプライアンスの見直しをすることが、求める人材を確保し、その後、長く働いてもらう為に必要なことかもしれません。
1.募集にあたって
(1)労働者の募集を行う者(求人者)は、労働者になろうとする者(求職者)に対し、従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない、としています。ハローワークや職業紹介事業者、募集委託者等に求人をする際にも、明示が必要です(職安法5条の3)。当初明示した労働条件を変更する場合は、変更内容を適切に理解できるような方法で明示しなければなりません(平11・11・17労告141号、令和4・3・31厚労告第143号『指針』第3の3)。
(2)ハローワークや職業紹介事業者は、以下のような求人者からの求人の申込みを受理しないことができる(職安法5条の5)とされていますので、求人者として留意が必要です。
・その内容が法令に違反する求人の申込み
・その内容である賃金、労働時間その他の労働条件が通常の労働条件と比べて著しく不適当であると認められる求人の申込み
・労基法・最賃法・職安法・均等法・育介法・労推法の違反に関し、法律に基づく処分、公表その他の措置が講じられた者(厚生労働省令で定める場合に限る)からの求人の申込みなど。
2.募集及び採用について
(1)募集及び採用について、その性別・その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければなりません(均等法5条・労推法9条)。
「ポジティブアクション」として女性を有利に取り扱うことは、認められる場合があります。
(2)募集及び採用をする場合において、やむを得ない理由により65歳以下の一定の年齢を下回ることを条件とするときは、求職者に対し、当該理由を示さなければなりません(高年齢者雇用安定法20条)。
(3)募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければなりません(障害者雇用促進法34条)。
積極的な差別是正措置として障害者を有利に取り扱うことは、差別に該当しません。
(4)学校卒業見込者の募集・求人申込みを行う事業主は、「青少年雇用情報」を提供するように努めなければなりません。学校卒業見込者やハローワーク・職業紹介事業者等から求めがあった場合は、「青少年雇用情報」を提供しなければなりません(義務)。(若者雇用促進法13条・14条)